リモコンの「テンポ+1」を押すと、たしかに少し速くなる。でも「何倍」なのかは、画面のどこにも書いていないんですよね。
この疑問が出てくるのは、たいてい「カラオケで +1 にしたときの速さで、家でも練習したい」ときです。倍率が分かれば、手元の音源を同じ速さにして歌い込めます。
結論から書くと、刻みの大きさは機種によって違い、メーカーは倍率を公表していません。ただし自分で測ることはできますし、測ってしまえば家で同じ速さを再現するのは簡単です。この記事はその手順です。
「+1」は倍率ではなく、機械の1段階
テンポの +1 / −1 は、キーの ♯ / ♭ と同じで「その機械が用意している段階を1つ動かす」という意味です。キーの1段階は半音と決まっていますが、テンポの1段階には音楽上の決まった単位がありません。だから機種が違えば、同じ +1 でも速さが違います。
体感としては、1段階で「言われれば分かる」くらい、2〜3段階で「明らかに速い」くらいです。数字にすると1段階あたり数%の範囲に収まることが多いのですが、ここは機種ごとに違うので、自分がよく行く店の機械で一度測っておくのがいちばん確実です。
自分で測る。用意するのはスマホだけ
倍率は「速くしたあとの BPM ÷ 元の BPM」です。元の BPM は家で調べられるので、店で測るのは速くしたあとの BPM だけで済みます。
- 家で、原曲の BPM を調べておく。音源があればキー・BPM解析に入れるだけです。たとえば 120 だったとします。
- カラオケで、その曲をテンポ +1 にして流す。スマホのメトロノームアプリの「タップテンポ」で、拍に合わせて画面を叩く。10〜20拍も叩けば、数字が落ち着きます。
- 出た数字を元の BPM で割る。126 なら 126 ÷ 120 で 1.05倍、つまり 5% 速い、ということです。
段階と倍率の対応表(1段階が何%かで変わる)
1段階の大きさが分かれば、あとは掛け算です。測った結果が「1段階 = 5%」なら、+2 は 1.10倍、+3 は 1.15倍あたりになります。刻みが足し算(線形)か掛け算(等比)かでも少し変わりますが、±3段階くらいまでならその差はほとんど気になりません。
| 段階 | 1段階=3%のとき | 1段階=5%のとき | 1段階=7%のとき |
|---|---|---|---|
| +1 | 1.03倍 | 1.05倍 | 1.07倍 |
| +2 | 1.06倍 | 1.10倍 | 1.14倍 |
| +3 | 1.09倍 | 1.15倍 | 1.21倍 |
| −1 | 0.97倍 | 0.95倍 | 0.93倍 |
| −2 | 0.94倍 | 0.90倍 | 0.86倍 |
| −3 | 0.91倍 | 0.85倍 | 0.79倍 |
家で同じ速さの練習音源を作る
倍率さえ分かれば、あとは音源の速さを同じだけ変えるだけです。キー・テンポ変更は速さを%で指定できるので、1.05倍なら 105%、0.90倍なら 90% と入れます。キーのつまみは ±0 のままにしておけば、音の高さはそのままで速さだけが変わります。カラオケ機のテンポ変更と同じ挙動です。
ゆっくりにして覚えたい段階ならゆっくり再生、本番より速い状態で余裕を作りたいなら速くするのページから入ると、はじめから目的の設定になっています。
歌が入っていない伴奏で練習したいときは、先にカラオケ音源作成で歌を抜いてから、その書き出したファイルの速さを変えてください。声は加工の跡がいちばん耳につくパートなので、先に外しておくほうが仕上がりが素直です。
テンポを変えるとキーは変わるのか
変わりません。レコードやテープを速回しすると音が高くなりますが、カラオケ機もこのサイトの道具も、速さと高さを別々に扱う処理をしているので、テンポだけを動かしてもキーはそのままです。逆に、キーだけを動かしてもテンポは変わりません。
どんなときに使うのか
- 早口の曲を覚えるとき。 −1 か −2 で歌詞を口に慣らし、慣れたら原曲に戻す。ゆっくりで覚えた歌は、速くしても崩れにくいです。
- 本番で走らないようにするとき。 原曲より少し速い +1 で歌えるようにしておくと、本番の原曲テンポに余裕が出ます。
- バラードを間延びさせたくないとき。 自分の声質だと重く聞こえる曲は、+1 にするだけで軽くなることがあります。
さいごに
「テンポ+1 は何倍か」の答えは、機種によって違うので一度自分で測る、です。測るのはタップテンポで一度きり。倍率が分かれば、家ではキー・テンポ変更に同じ%を入れるだけで、店と同じ速さで練習できます。
この記事で紹介したステム分離は、ブラウザで無料で試せます(登録不要・音源は端末から出ません)。