ドンシャリにする
低音と高音を持ち上げ、中音を控えめにします。派手で抜けのある聞こえ方になります。
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この設定にした理由
ドンシャリは低域と高域を上げ、中域を下げた形(V字)のことです。派手で聞き映えがする一方、中域にはボーカルと多くの楽器の芯があるので、削りすぎると音が遠ざかり、音量を上げても近づいてきません。
ここでは低域 +3 dB、中域 −3 dB、高域 +3 dB としています。V字としてははっきり分かる差ですが、ボーカルが後ろに引っ込む手前です。「もっと派手に」と思ったときに効くのは、たいてい中域をさらに削ることではなく、再生機側の設定です。
中域と呼んでいるのは、おおよそ 250Hz から 4kHz の帯です。ここには歌声の胴の部分、スネアの本体、ギターとピアノの芯がまとめて入っています。V字が「すっきりした」と感じられるのは、この帯の情報が減って、残った低音と高音が相対的に目立つからです。減っているのは濁りだけではなく、演奏の芯も同じだけ減っています。
V字が向くのは、通勤中や作業中のように、音を細かく追わずに流している場面です。逆に、歌詞を聞き取りたいとき、演奏の細部を確かめたいとき、ミックスの判断をするときには向きません。同じ曲を2種類書き出して、用途で使い分けるのが現実的な使い方です。
イヤホンやスピーカー側で既にドンシャリ寄りの音作りがされている場合、二重にかかって聞き疲れやすくなります。まず素の状態で聞いてから決めてください。
よくある質問
- なぜ中域を −3 dB より下げないのですか?
- この道具はイコライザーの変化量を ±4 dB までに制限しています。中域を −6 dB や −10 dB 下げると、確かに低音と高音は目立ちますが、同時にボーカルが伴奏の奥へ下がり、音量を上げても前に出てこなくなります。それは「派手になった」ではなく「遠くなった」で、しかも書き出したファイルからは戻せません。−3 dB は、V字だとはっきり分かる範囲で、ボーカルが引っ込み始める手前に置いた値です。
- 「ドンシャリ」と「かまぼこ」はどう違いますか?
- 正反対の形です。ドンシャリ(V字)は低域と高域を上げて中域を下げた形、かまぼこは中域を上げて低域と高域を下げた形を指します。かまぼこはボーカルや台詞がいちばん前に出るので、話し声の録音やラジオ的な用途で使われます。音楽を流し聞きする場面ではドンシャリ、言葉を聞き取りたい場面ではかまぼこ、という分かれ方が実感に近いです。
- 書き出した後で元に戻せますか?
- 書き出したファイルからは戻せません。この処理は元のファイルを書き換えず、新しいファイルを作るので、元の音源を残しておけばやり直せます。上書き保存だけは避けてください。仕上がりを比べたい場合は、素の状態と書き出した後の両方を同じ音量で聞き比べるのが確実です。この道具はどちらも −14 LUFS に整えるので、音量差で「良くなった」と錯覚することは起きにくくなっています。