「IPアドレスから住所が特定される」という話、一度は聞いたことがあると思います。実際のところ、どこまで分かるんでしょうか。
結論から書くと、住所は分かりません。ただし「何も分からない」わけでもありません。この中間がいちばん誤解されているところなので、分かる側と分からない側を分けて整理してみます。
なぜ「地域まで」で止まるのか
IPアドレスは、通信会社がまとめて割り当てを受けて、それを利用者に配っています。だから外からたどれるのは「この範囲はどの通信会社のものか」というところまでです。位置の情報は、その会社の設備がどこにあるかを元にした推定でしかありません。
なので、東京の会社と契約していれば、実際には別の県に住んでいても「東京」と出ることがあります。市区町村まで表示するサービスもありますが、あれは当たっていないことが珍しくないというのが実情です。
IPアドレスは変わる
家庭の回線では、多くの場合IPアドレスは固定されていません。ルーターを再起動したり、しばらく切れていたりすると変わることがあります。「昨日と違う番号になっている」のは正常で、故障でも乗っ取りでもありません。
また、家の中の機器(パソコン、スマホ、テレビ)はどれも同じグローバルIPで外に出ています。設定画面で見かける`192.168.…`のような番号は家の中だけの住所で、外からは見えません。
自分のIPを確かめる
自分のグローバルIPは、ブラウザからは見えません。外からどう見えているかを知っているのは、通信を受け取った側だけだからです。このサイトのIPアドレス確認を開くと、いま外からどう見えているかがそのまま出ます。
この画面では、サーバーから見えたものと、端末が自分で答えたものを分けて並べています。どこまでが外に出た情報なのかが、並びのまま読めるようにしてあるためです。IPv6に切り替わったかどうかも、ここの「方式」で分かります。
VPNを使うとどうなるか
VPNを通すと、相手に見えるのはVPN事業者のIPアドレスになります。つまり「自分の通信会社」までは隠せます。ただし、隠した先はVPN事業者に見えているので、信頼の相手が変わっただけとも言えます。無料のVPNを勧めにくいのはこのためです。
なお、VPNを使っていると、IPから推定されるタイムゾーンと端末の設定が食い違います。前述のIP確認の画面では、その2つを並べているので、いま経由しているかどうかの手がかりになります(海外にいるときや、時計を手で変えている場合も同じ表示になるので、断定はできません)。
まとめると、IPアドレスは「どの通信会社の、どのあたりの回線か」までを示す番号で、それ以上でも以下でもありません。過剰に怖がる必要はないですが、完全に無記名でもない。そのくらいの距離感で付き合うのがちょうどいいと思います。
この記事で紹介したステム分離は、ブラウザで無料で試せます(登録不要・音源は端末から出ません)。